二つの大賞を振り返って・・・
ビジネス書大賞Biz-Tai2010と、日本タイトルだけ大賞2009。
どちらも、日本初の大賞であり、今回主催者の一人として関わらせて頂きました。
ようやく大賞のイベントおよびまとめが終わりましたので、それぞれを振り返ってみたいと思います。
ビジネス書大賞Biz-Tai2010について
「ビジネス書の本屋大賞や芥川賞をつくるべきだ!」と思って動き出したのが9月でした。
私が普段から大変お世話になっている、出版業界の皆さまに十分な説明ができないまま、2ヶ月で枠組みをまとめ、とにかく実現することが大事なのだと信じて、がむしゃらに推し進めた4ヶ月です。
実行委員長をさせて頂いたのはもちろん初めての経験ですし、大賞の運営ノウハウも全くありませんでしたので、本当に色々な方に助けて頂きながら、ようやく実現できました。
私の思いつきに快くお力を貸して下さったディスカヴァー・トゥエンティワンの干場社長。
事務局として一生懸命大賞運営をして下さった原さん、酒泉さん、大竹さん、田中さん。
急なお願いにも関わらず実行委員を快く引き受けて下さった日経ビジネス梅谷編集長、講談社BIZ唐沢部長、丸善丸の内本店篠田和書グループ長、小飼弾さん。
タイトなスケジュールにも関わらず審査をして下さった出版社、書店員、ブロガー、マスコミの皆さま。
そして、ツイッターでおもしろがって投票をして下さった読者の皆さま!
皆さまのご協力が無ければ、ビジネス書大賞Biz-Tai2010は成功しませんでした。
本当にどうもありがとうございました!!
至らない部分もたくさんあったとは思いますが、今回の経験を次回に活かし、必ず、もっともっと素晴らしい大賞にしていきます。
受賞作に関しては、昨今の売れるビジネス書の傾向である「軽い・薄い・分かりやすい」本が選ばれなかったのが今回の特徴だと思います。
詳しい受賞結果はコチラへ。
大賞の『ブラック・スワン』は世の中に新しい概念を提唱するタイプの本で、どちらかというと経済書に属するような重厚な内容です。古くは『ビジョナリー・カンパニー』や『ザ・ゴール』、最近であれば『フリー』のような類の、ある意味正統派ビジネス書となりました。
決して作為的に大賞を選んだわけではなく、審査員、一般投票の双方からの評価が最も高かったのが『ブラック・スワン』だったのです。
他の審査員賞である「書店賞」「ブロガー・マスコミ賞」もまた、深みのある本が並んでいます。
ツイッターを使った一般投票ではもっと軽くて読みやすい本に票が集まるのではと思っていたのですが、結果は『起きていることはすべて正しい』で、数ある勝間さんの本の中でも、かなり分厚い一冊が選ばれました。
もっとも、自分の投票結果が、1月に発売されるビジネス書大賞の書籍や、ツイッター上で見られるので、「読みやすい本を選ぶと恥ずかしい」という気持ちが働いてしまい、比較的重厚な本に票が集まったという可能性はあります。
とはいえ、そういう可能性を考慮するにしても、「自分が推薦したい本」「人に薦めたい本」は、「薄い・軽い・読みやすい」本ではないということは確かに言えるでしょう。
そういう意味で、今回のビジネス書大賞では、ビジネス書における本当に意味での「良い本」とは何か、という一つの基準を提示できたことが、非常に意義深かったのではないかと思っています。
・・・それにしても、大賞作品を日本人著者から出せなかったのは本当に悔しいです。
早くも来年度ビジネス書大賞に選ばれそうな「フリー」も翻訳本ですし・・・。
「新しい概念を世に問う」というビジネス書を、是非日本から世界に羽ばたかせたいものです・・・。
日本タイトルだけ大賞2009について
私と山田真哉さんのランチ中の会話から突発的に生まれた企画が、ここまで大事になるとは当初全く予想していませんでした。
「ツイッター上でこっそり募集して、ひっそりとウェブ上で大賞を進呈しよう!」というのが最初のコンセプトでした。
それが、いつのまにか、niftyさんの支援まで受け、120名を集めるイベントを行う大々的な企画になっていました。
運営スタッフの人数は、山田真哉さん、ヨシナガさん、イベント会場の東京カルチャーカルチャー店長の横山さん、そして私の4名のみでしたので、ビジネス書大賞よりも遥かに小さい人数で、日本初の大賞及びイベントを運営するという無謀極まりない挑戦でした。
正直、最後の1週間で60名以上の集客が行えたのは、奇跡的だったと思います・・・。
本当に、人を集めるのって、大変ですね。。。
ばたばたの中でもなんとか実現できたのは、山田真哉さん、ヨシナガさん、横山さん、快く審査員を引き受けて下さった土井英司さん、斎藤広達さん、小飼弾さん、そしてゲストとしてお越し頂いた著者・出版社の皆さま、イベントにお越し頂いた皆さま、ツイッターでつぶやいて下さった皆さまのおかげです。
本当にどうもありがとうございました!!
是非、反省点を改善しつつ次回もやりたいと思っていますが、主催者サイドのコンセンサスは、取れていなさそうです(笑)あと、この企画を元に、書籍とかも出版できたら面白いでしょうね
後、本とかも作れたら面白いでしょうね。
受賞作は・・・なかなかカオスな感じで、いい味出てるのではないでしょうか(笑)
詳細はコチラをご覧頂くとして、私が選んだ『会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ』についての理由を書きたいと思います。
私は、タイトルの良し悪しは、は「ターゲット読者の"本能"を刺激できるかどうか」に尽きると思っています。
本能には、好奇心や食欲、儲けたいという欲求や楽したいという欲求、不安感や劣等感のような負の感情など諸々が含まれています。
読ませたい人に対して、強烈に指が指されている状態といいましょうか、読ませたい人が書店に来た瞬間にそのタイトルが輝いて見え、思わず手に取ってしまうというタイトルがあると思うのです。
『会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ』には、そういう要素があります。
マグロ船という言葉が持つイメージは、借金を返すためにマグロ船に乗ったという話や、怖い方々にマグロ船に放り込まれたという話など、牢獄的な負のイメージです。
ところが、本書はそこで「学んだ」と来る。しかも、人生で必要な智恵の全てを学んでしまった。
このギャップが、猛烈に好奇心をかき立ててくれます。
多くの人が持つ負のイメージを、好奇心というエネルギーに結びつけることができたのが、このタイトルです。
そこに惚れ込んで、今回上田渉賞という審査員賞を進呈させて頂くことと致しました。
大賞の『ヘッテルとフエーテル』は、いわゆるだじゃれを使ったタイトルですが、思わず手に取ってしまうユニークさがあります。審査員満場一致でこれが大賞受賞作品に選ばれました。
次回のタイトルだけ大賞までに、『ヘッテルとフエーテル』を超える面白いタイトルが生まれることを願いつつ、今日は筆を置こうと思います。
改めて、両大賞の開催にご協力いただきました皆さま、ご参加いただきました皆さま、ご取材いただきましたメディアの皆さま、そして最後に、私を支え続けてくれたオトバンクのスタッフのみんな、本当にどうもありがとうございました!