本は一期一会

わたしの浪人時代の恩師から頂いた名言があります。

「本は一期一会なんだ。だから、自分がこれは!と思う本と出会ったら、迷わず買いなさい。高いものではないんだから。」

当時、陰鬱としていた浪人生のわたしにとって、数少ない趣味の一つが、古本屋巡りでした。

受験勉強に疲れると、気分転換にランニングをしながら、それらの古本屋をめぐり、いい本がないかを探して回るのです。

そうしたら中で出会った本の中には、今や絶版となってしまっている大江健三郎の初期作品の全集などの貴重な本がありました。

今でも、わたしの実家に宝物として眠っています。


さて、なぜこんな話を始めたかといいますと、本日三省堂神保町本店に立ち寄った折りに、この本は一期一会になるのではないか、と思う本に出会ったからです。

正直、古本屋では度々起こる感覚なのですが、普通の書店でこの感覚に出会うとは思いもよりませんでした。

『座右の銘 意義ある人生のために』 里文出版刊 という本です。

Amazonで調べてみたところ、書影もありませんし、説明文もありませんでした。

この本が、なぜか三省堂神保町本店で100冊くらいの山になって、積まれていたのです。

表紙は地球の写真がどーんと載っているだけで、本文のフォントや段組みは一昔前のものを彷彿とさせる作りで、お世辞にも、「売れそう!!」とは思えない本でした。

ただ、世界中の名言がこれでもか!と言うほど詰め込まれており(なんと600ページ以上!)、しかも値段は1890円(税込)と、この手の本にしては破格の値段なのです。

これだけ名言が揃っている本は見たことがありませんでしたし、辞典として非常に有用に感じました。

また、何より、わたし以外にこの本を買う人はいないのでは、と思ってしまったのです。

今の出版の世界では、2週間売れなければ店頭から消え去ってしまいます。

本書の場合、もっと早く、それこそ1週間以内で店頭からなくなってしまうようにすら思えました。

普段わたしが書店に行ってビジネス書を選ぶときは、しばらく様子を見て、残っていたら買う、というケースが多いです。

しかし、次来たときにまだ残っていれば買おう、という悠長なことは言っていられない雰囲気だったのです。

そこで、すぐに購入しました。

もちろん、まだ読んではいません。

なにぶん分厚いので、これからのんびり読んでいこうと思います。

このブログをお読みになった方で本好きな方は、是非お時間のある際にお手に取ってみて下さい。

多分、良い本(だと思います)。